Home / 恋愛 / お嬢!トゥルーラブ♡スリップ / 【第2部】 第9話 横暴だ!ちゃめっけ祖父②

Share

【第2部】 第9話 横暴だ!ちゃめっけ祖父②

last update Huling Na-update: 2025-09-08 10:00:56

「え!? 明日!?」

「どういうことですか!?」

 あまりにも突然のことに、私たちは同時に声を上げた。

 さっきまでのしおらしさはどこへやら。

 急に態度が変わった祖父に、驚きと戸惑いが押し寄せる。

「ってことは……お見合いの話、もう決まってたってこと!?」

 さっきの許しを請う姿は演技だったの?

 からかって、面白がってた?

 私は目を吊り上げ、鼻息荒く祖父に詰め寄った。

「おじいちゃん。どういうことかな? 説明してくれる?」

 怒り心頭の私を前に、祖父はそっぽを向いて、肩をすくめた。

「ほっほ……もう決まっていたんじゃ。

 おまえたちなら、絶対にわしの言うことを聞き入れてくれると思ったから、先にOKしちゃった」

 茶目っ気たっぷりに微笑む祖父。

 その瞬間、私の中で、プチッと何かが切れた。

「どういうことよっ!!

 勝手に決めるなんて酷いじゃない!

 さっきの感動、返せーーー!!」

 怒りに任せて祖父に飛びかかろうとする。

 と、背後から龍が優しく私を羽交い締めにし、制止してきた。

「お嬢、落ち着いてっ」

「龍は腹が立たないの!?

 私たちの意見も聞かず、勝手に決めてたんだよ?」

 私が振り返ると、龍は一瞬だけ困った表情を浮かべ、苦笑いする。

「それは……もちろん腹は立ちます。

 でも、親父ならしそうだなって……。もう、慣れましたから」

 どこか、あきらめようなその顔と声。

 祖父の性格を誰よりもよく知る龍は、怒る気力すら失せたらしい。

 でも、私は違う!

 祖父の茶目っ気も、自由奔放さもわかってる。

 そこがいいところだと思うときもある。

 ……だけど、これは別!

 人の人生を、弄ぶなんて——絶対に許せない!

「おじいちゃんっ!」

 威勢よく叫ぶと、祖父はおおげさにビクッと体を震わせ、怯えた振りをしてみせる。

Patuloy na basahin ang aklat na ito nang libre
I-scan ang code upang i-download ang App
Locked Chapter

Pinakabagong kabanata

  • お嬢!トゥルーラブ♡スリップ   【第2部】 第10話 流華の着物姿②

     その瞬間、大きな手がヘンリーの顔にかぶさった。「どけ」 龍の声が低く響き、ヘンリーは一瞬で横へ吹っ飛ぶ。 驚いて視線を動かすと、壁に上半身をめり込ませているヘンリーが、ピクピクと足を震わせていた。「……龍、ダメじゃない」 あきれ顔で龍を見ると、彼はまっすぐな視線で見つめ返してきた。 その瞳がゆらゆらと揺れている。  でも、しっかりと私を見ていた。 その熱を感じた瞬間、心臓がドクンと跳ねる。 そして、龍が静かに微笑んだ。「お嬢……綺麗です。  姿を見た瞬間、息が止まりました。あまりにも可憐で」 頬を染めながら顔を背け、大きな手で自分の顔を覆う龍。  普段は冷静な彼の、そんな姿に胸が高鳴る。「そんな素敵な姿を見合い相手に見せるのは癪ですが……なんとか耐えます」 そう言いながら向き直った彼は、苦しげな表情を浮かべていた。 ああ……。  大好きな人を、こんなに苦しめてまでお見合いをするなんて。 胸がぎゅっと締め付けられる。「龍……ごめんね」 俯いた瞬間、龍の手が私の頬に添えられ、優しく上を向かされた。「いいんですよ。だって、流華さんは私の女でしょう?  俺だけの――」 その言葉と眼差しに、私の心臓は壊れそうなほどバクバクと跳ね上がる。「も、もちろん。私は龍のものよ」 必死で平静を装って答えると、龍は満足げに微笑んだ。  その笑顔がまた格好よくて、顔が熱くなる。「……流華さん」「……龍」「もうそろそろ、いいかの?」 見つめ合う私たちのすぐそばから、祖父の声が聞こえた。「わあっ!」 また祖父の存在をすっかり忘れていた……! ふと視線を動かせば、着付けの先生も少し離れた場所で手持ち無沙汰に立っている。  そして、少し頬を染めながら、興味津々といった顔で私たちを見てい

  • お嬢!トゥルーラブ♡スリップ   【第2部】 第10話 流華の着物姿①

     そして、お見合い当日。 私は、この日のために祖父が用意してくれた着物に袖を通す。  鏡に映る艶やかな姿を眺めながら、ふっと息を吐いた。 いかにも「極道の孫娘」って感じの黒い着物はやめてって言っておいてよかった。  あんなの着せられてたら、間違いなく泣いてた。 でも、この着物は――悪くない。むしろ……素敵だ。 聞けば、これはレンタルらしいけど、質の高い代物だとわかる。 生地はとても滑らかで、肌に優しくなじむ。  華やかさの中にも品があり、女性らしさを引き立てる。  鮮やかな色合いなのに、しっとりと落ち着いた雰囲気を漂わせていた。 青く晴れ渡る空を思わせる水色の生地に、蝶と花の模様が繊細に散りばめられている。 思わず見とれながら、心の中でつぶやく。 ……おじいちゃん、なかなかセンスいいじゃん。  上品なイメージで、私の好みにピッタリ。 少し驚きつつ、満足そうに微笑んだ。「はい、できましたよ」 着付けを終えた先生が、ふんわりとした笑顔で私に声をかけた。  懐かしいその声に、振り返る。 この先生は、昔、着付けを教えてくれた人だ。 祖父の要望で習い始めたものの、私にはあまりにも不向きで、すぐに挫折したっけ。 久しぶりに会った先生は、相変わらず丸くて柔らかな雰囲気のまま。  ふくよかで、笑うと目尻に優しいしわが寄るその顔は、変わっていない。「まあ、素敵だこと。よくお似合いですよ」 ほれぼれとした目で言われ、私はもう一度、鏡の中の自分に目をやる。 ――確かに素敵だ。  艶やかな着物に包まれた自分は、まるで別人みたい。 アップにまとめた髪に飾られた蝶と花の髪飾りも、着物によく合っている。 頭を動かすと、それがキラリと美しい輝きを放つ。 うーん……でも、やっぱり慣れないなあ。  なんだか私じゃないみたい。 そんなことを思いながら、そっと髪飾りに手を添える。

  • お嬢!トゥルーラブ♡スリップ   【第2部】 第9話 横暴だ!ちゃめっけ祖父②

    「え!? 明日!?」「どういうことですか!?」 あまりにも突然のことに、私たちは同時に声を上げた。 さっきまでのしおらしさはどこへやら。  急に態度が変わった祖父に、驚きと戸惑いが押し寄せる。「ってことは……お見合いの話、もう決まってたってこと!?」 さっきの許しを請う姿は演技だったの?  からかって、面白がってた? 私は目を吊り上げ、鼻息荒く祖父に詰め寄った。「おじいちゃん。どういうことかな? 説明してくれる?」 怒り心頭の私を前に、祖父はそっぽを向いて、肩をすくめた。「ほっほ……もう決まっていたんじゃ。  おまえたちなら、絶対にわしの言うことを聞き入れてくれると思ったから、先にOKしちゃった」 茶目っ気たっぷりに微笑む祖父。  その瞬間、私の中で、プチッと何かが切れた。「どういうことよっ!!  勝手に決めるなんて酷いじゃない!  さっきの感動、返せーーー!!」 怒りに任せて祖父に飛びかかろうとする。  と、背後から龍が優しく私を羽交い締めにし、制止してきた。「お嬢、落ち着いてっ」「龍は腹が立たないの!?  私たちの意見も聞かず、勝手に決めてたんだよ?」 私が振り返ると、龍は一瞬だけ困った表情を浮かべ、苦笑いする。「それは……もちろん腹は立ちます。  でも、親父ならしそうだなって……。もう、慣れましたから」 どこか、あきらめようなその顔と声。 祖父の性格を誰よりもよく知る龍は、怒る気力すら失せたらしい。 でも、私は違う!  祖父の茶目っ気も、自由奔放さもわかってる。  そこがいいところだと思うときもある。 ……だけど、これは別! 人の人生を、弄ぶなんて——絶対に許せない!「おじいちゃんっ!」 威勢よく叫ぶと、祖父はおおげさにビクッと体を震わせ、怯えた振りをしてみせる。

  • お嬢!トゥルーラブ♡スリップ   【第2部】 第9話 横暴だ!ちゃめっけ祖父①

     先ほどから何も言葉を発しようとしない龍のことが気になり、私はそっと視線を動かした。  すると、悲しげに揺れる瞳とぶつかる。 龍は切なげな表情で私を見つめていた。「お嬢……」 その声は、いつになく沈んでいて、力がない。 私は改めて龍に向き直り、彼の手をぎゅっと握りしめた。  そして、動揺を隠し切れずにいるその瞳を、まっすぐに見据える。「龍、嫌な思いをさせてしまってごめんなさい……。  でも、会うだけだから。ちゃんとお断りするから。  おじいちゃんの願いを、叶えてあげたいの……お願い」 そう言って、握った手に力を込めた。  それに反応するように、龍の瞳が細かく揺れる。 龍は、私の祖父への想いを理解してくれている。 きっと彼もまた、祖父の願いを叶えてあげたいという気持ちは同じなのだ。 けれど――  龍の瞳は激しく揺らめき続けている。  彼の心の中で、いくつもの想いがせめぎ合っているのがわかった。「龍……私はあなたが好き。愛してる。  だから大丈夫。私を信じて」 ありったけの想いを込めて、私はもう一度、龍を見つめた。「……流華、さん」 龍が、久しぶりに名を呼んでくれる。 心臓が大きく跳ね、全身がふわっとあたたかくなる。  彼に名前を呼ばれると、どうしてこんなに嬉しいんだろう。 愛おしくて、胸がいっぱいになった。 しばし見つめ合ううちに、龍の硬かった表情がふっと緩んでいくのがわかった。「……わかりました。俺は、流華さんを信じています。  だから、大丈夫」 想いを隠すように、彼は静かに微笑んだ。  でも、隠しきれないもどかしさが、笑顔の奥ににじんでいる。「龍……ありがとうっ」 自分の気持ちを抑え、私の想いを尊重してくれた彼が愛おしくて。  体が勝手に動いていた。 そっと踵を上げ、龍へと近づく。

  • お嬢!トゥルーラブ♡スリップ   【第2部】 第8話 祖父もやっぱり相変わらずだった②

     私がひとりで浮かれていると、祖父が困ったような顔で龍を見つめ、そしてふうっとため息をついた。「龍、すまんな……。  だが、その友人は、わしにとって大切な親友なんじゃ。無下にもできん。  ――流華よ、一度会うだけでも会ってみてはくれんか?  もし嫌なら断ればいい。……頼む」 祖父は、懇願するような目を向け、軽く頭を下げてくる。「この通りじゃ」「おやめください!」「そうだよ、おじいちゃん、やめて!」 龍があわてて祖父の頭を上げようとする。  私も、思わず声を張り上げていた。 だけど、おじいちゃんがここまで頭を下げるなんて……。 胸が痛い。 おじいちゃんには、本当に感謝している。  両親が亡くなってからというもの、男手ひとつで私を育ててくれた。  誰よりも大切にしてくれて、たくさんの愛情をかけてくれた。 私はおじいちゃんに、頭が上がらない。  いつか、恩返しをしたいと思ってた。 それが、今なのかもしれない。 龍には申し訳ない気持ちでいっぱいだけど……。  祖父への想いが溢れてきてしまう。 そして、つい言ってしまった。「おじいちゃん……わかった。一回会うだけだよ」「お嬢!」 龍の悲痛な叫びに、胸がズキンと跳ねる。 うう……ごめんね、龍。 でも、もう言ってしまった。  祖父を喜ばせたいという気持ちも、本当だった。 私は龍の顔を見ることができなくて、祖父に向かって神妙に頷いた。 その瞬間、祖父の表情が一変する。  さっきまで曇っていた顔に、ぱあっと明るい光が差し込む。「本当か?」「……うん」 隣で、龍が小さく息を呑むのがわかった。 ごめん……今回だけだから。  おじいちゃんのため、だから。 やっとの思いで龍の方へ視線を向けると、  そこには、放心したように前を

  • お嬢!トゥルーラブ♡スリップ   【第2部】 第8話 祖父もやっぱり相変わらずだった①

     ヘンリーが戻ってきてからというもの、なんだかんだで私は皆と楽しい日々を送っていた。 しかし、その平穏を打ち破る出来事が起ころうとは――夢にも思っていなかった。 再会から一か月ほどが過ぎようとしていた、ある日のこと。 祖父がまた、とんでもないことを言い始めた。「流華よ、お見合いじゃ」「は?」 今日は休日。  ここ一か月、ドタバタな日々に少し疲れを感じていた私は、今日はのんびり過ごすと決め、居間でテレビを見ながらくつろいでいた。 ……今のは、空耳か?「おじいちゃん……今、なんて?」 一応確認するつもりで聞き返す。  だけど。「お、み、あ、い、じゃ」 祖父はそう言って、可愛らしくウインクしてみせた。「えーーーっ!! ど、どういうこと!?」 思わず叫んでいた。  突然すぎる衝撃に、頭がついていかない。 そんな話、今まで一度だって聞いたことがない!「お嬢! 何事ですか!?」 私の叫びを聞きつけ、龍がどこからともなく現れる。  驚いた表情で、私と祖父を交互に見つめていた。 祖父は、そんな私たちを見やりながら静かに言った。「まあ……座りなさい」 その声音は、妙に落ち着いていて、けれど不穏な空気をはらんでいた。 警戒しつつ、祖父の指し示す場所に腰を下ろす。  すぐ隣には龍も並んで座った。 彼もまた、顔をしかめ、複雑な表情をしている。 いったい、おじいちゃんは何を考えているの?  なんだか……嫌な予感がする。  祖父は、私たちの向かいで胡坐をかいて座り、腕を組むとしばし目を閉じた。  そして、ふうっとひと息ついたあと、口を開く。「わしの古い友人がいてな。まあ、親友ってやつじゃ。  そいつの孫が、ちょうど流華と同じくらいの年でな。流華の話をしたら、えらく気に入ってしまって――

Higit pang Kabanata
Galugarin at basahin ang magagandang nobela
Libreng basahin ang magagandang nobela sa GoodNovel app. I-download ang mga librong gusto mo at basahin kahit saan at anumang oras.
Libreng basahin ang mga aklat sa app
I-scan ang code para mabasa sa App
DMCA.com Protection Status